新型コロナウイルス(COVID-19)は妊婦・新生児に影響がなかった
妊婦9名を対象とする研究で、権威ある医学雑誌LANCET誌の優先掲載になっていることからも注目に値する内容です。
臨床検査で新型コロナウイルス感染肺炎が確認された9人の武漢大学中南病院に入院していた妊婦を対象に、臨床記録、検査、および胸部CTスキャンを調査しました。新生児への子宮内垂直感染の有無は、羊水、臍帯血、および血液中の新型コロナウィルスの有無の調査で行いました。
新型コロナウイルス感染妊婦9名のおける垂直感染は認められませんでした。少数例の検討ですが、妊婦の新型コロナウイルス感染の臨床的特徴と垂直感染の危険性を理解するために重要であると考えます。
(www.thelancet.com Vol 395 March 7, 2020)
9名とも無事出産
9人の妊婦患者全員が、妊娠第三期で帝王切開をにて出産しました。7人の患者で発熱、咳(患者9人中4人)、筋肉痛(3人中)、咽頭痛(2人中)、などの症状が観察されましたが、重篤な新型コロナウイルス肺炎を発症した患者も死亡した患者もいなかった。9人とも帝王切開で無事出産できました。
新生児も影響はなかった
9名の妊婦よりそれぞれ1名の新生児が生まれ、胎児死、新生児死、または新生児仮死はありませんでした。4人は早産でしたが、すべて妊娠36週を超えていました。未熟児は4名あり、そのうち2人の出生時体重は2500 g未満でした。
新型コロナの検査は羊水、臍帯血、新生児の咽頭綿棒採取液、および妊婦6名から収集した母乳で実施されましたが、SARS-CoV-2は検出されていません。
垂直感染が報告されなかったことはよかったと思います。
でも、今回の報告は非常に少ない例数での検討で、全ての妊娠の最終段階での感染ですので、この結果が全ての妊娠に当てはまるかはわかりません。
原著は以下より入手できます。
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2820%2930360-3