新型コロナウイルス(COVID-19)の起源/名称由来

2020/03/15

新型コロナウイルス(COVID-19)が突然現れたけど、どこからやってきたのだろうか。
そして、WHOは新型コロナウイルス感染病をCOVID-19と名付けたけど、なんでこんな名前になったのだろう。
ここ20年で話題になった感染症も交えてちょっと調べてみました。

2020/2/11にWHOは新型コロナウイルス症を"COVID-19"と命名。はて、なんて読むんだろう?

わからないのでBSのCNNにチャンネルを合わせてしばらく待つと「コヴィッド ナインティーン」との報道を耳にしました。

さて、ここ20年の間に問題となった感染症として、SARS、MARS、そして今回のCOVID-19。

でも、COVID-19はしっくりとこない名称ですね。その理由を調べてみました。

さらに、向学のためにそれぞれの感染症の発症起源も調べてみました。


COVID-19って?

今回の新型コロナウイルス症に対しWHOが定めた名称はCOVID-19。

COrona、VIrus、Disease、2019を意味しています。
要するに、2019年に発生したコロナウイルスによる病気。
ってことですね。なんか機械的でつまんないですね。

海外のメディアではCOVID-19と全て報じていますが、日本では「新型コロナウイルス」が主流です。

なんでかなぁ?
ロードオブリングのホビットみたいに日本人には聞こえちゃうのかな?
でも、SARSもMERSもコロナウイルスが原因の呼吸器感染症。もしも、さらに新しいコロナウイルスが原因の呼吸器感染症が出たら、ややこしくなりそう。

ちなみにSARSとMERSの命名由来は

  • SARS:  Severe Acute Respiratory Syndrome(重症急性呼吸器症候群 )の頭文字。「サーズ」って読みやすいですね。
  • MERS:   Middle East Respiratory Syndrome(中東呼吸器症候群)の頭文字。「マーズ」ってこれも読みやすいですね。
    サウジアラビアで最初の発症があったとされ、その後中東地域で蔓延したため「中東」という冠が付いたとのこと。

WHOが中国に忖度?

COVID-19は中国の武漢市に起源のあることはほぼ間違いありません。

それならば、中東呼吸器症候群SARSと同じように、「中国」とか「武漢」の名前が病名についても良いのでは?

もしかしたら、WHOがGDP世界第二位の中国に忖度しお国の名前を使用しなかったのでは?

などと勘ぐってしまいます。

感染症名称ルールってあるんだ

実はWHOが中国に忖度しているのではなく、実は2015年にWHOが定めた指針「World Health Organization Best Practices for the Naming of New Human Infectious Diseases May 2015」なるものがあるのです。

科学者、国家当局、メディアに対し、国家、経済、人々への不必要な悪影響を最小限に抑えるために、WHOはこの新しいヒト感染症の命名のベストプラクティスに従うよう求めています。

したがって、WHOが今回のCOVID-19を命名したわけですから、このベストプラクティスに則るのは当たり前なのです。

ベストプラクティスでは、疾患名は、疾患が引き起こす症状(呼吸器疾患、神経症候群、水様性下痢など)に基づく一般的な説明用語と、疾患の発現方法に関する堅牢な情報が利用可能な場合のより具体的な説明用語で構成されるべきであると述べています。影響を受ける人、その重症度または季節性(進行性、若年性、重症、冬など)。病気の原因となる病原体がわかっている場合は、病気の名前の一部である必要があります(コロナウイルス、インフルエンザウイルス、サルモネラなど)。

病気の名前で避けるべき用語には、地理的位置(例:中東呼吸器症候群、スペイン風邪、リフトバレー熱)、人の名前(例、クロイツフェルト・ヤコブ病、シャーガス病)、動物または食物の種類(例:豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、サル痘、文化、人口、産業または職業に関する言及(例:軍団員)、および過度の恐怖を引き起こす用語(例:不明、致命的、流行)。【以下に避けるべき用語テーブルの日本語訳を載せます】

疾患名に以下を含めることはできない 避けるべき実例
地理的な場所:
都市、国、地域、大陸
中東呼吸器症候群、スペイン風邪、リフトバレー熱、ライム病、クリミアコンゴ出血熱、日本脳炎
人名 クロイツフェルト・ヤコブ病、シャーガス病
動物または食物の種類/分類 インフルエンザ、鳥インフルエンザ、サル痘、馬脳炎、麻痺性貝中毒
文化、人口、産業または職業の言及 職業、軍団員、鉱夫、肉屋、料理人、看護師
過度の恐れを引き起こす用語 不明、死亡、致命的、流行

 

先に機械的な名前でつまらないと述べましたが、まさに機械的に命名していたのですね。

 


COVID-19はどこから来たの?

COVID-19は遺伝子配列データから、ヒトへの単一の導入とそれに続くヒトからヒトへの広がりがあったようです。COVID-19は、SARS-CoVと遺伝子配列の79.5%同じで、コウモリコロナウイルスと96.2%の相同性があるとのことです【1】。さらに、COVID-19はは、SARS-CoVと同じ細胞侵入受容体であるACE2を利用しています。

SARSではハクビシン、MERSではラクダがコウモリと人間の中間感染種であると推察されていますが、COVID-19ではまだわかっていないようです。しかし、武漢の市内封鎖が海鮮市場(野生動物も扱っていた)から始まったことから、似たような経路と考えられます。

っていうか、ハクビシンやら変なもの食べないでよね。迷惑千万。

【1】Zhou  P, Yang  XL, Wang  XG,  et al. Discovery of a novel coronavirus associated with the recent pneumonia outbreak in humans and its potential bat origin. Preprint. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.01.22.914952v2.full.pdf. Posted January 23, 2020. Accessed February 3, 2020.